VPSのメモリを増やす方法
VPSをアップグレードをする際に重要なポイントの一つがメモリ。メモリを増やすことで何が変わるのか、どれくらいの容量を増やせば良いのかをまとめました。
公開日: 2023.3.3
まずは「なぜメモリ不足になっているのか」を把握しよう
VPSでメモリ不足になると「プランをアップグレードしなくては」と思ってしまいがちですが、メモリの最適化もユーザー自身で行う必要があるVPSでは「メモリは足りているので適切な最適化や管理が出来ていない」というケースが多々あります。
VPSでは「メモリを増やす = プランのアップグレード」なので、料金や作業のコストもかかります。
そうしたコストをかける前に、まずはVPSのメモリがきちんと使われているかをチェックしましょう。
何がメモリを圧迫しているかをチェックしよう
まずはメモリ不足になっている要因を特定しましょう。Webサーバーであれば、メモリを大量に使っているのが、アプリケーションなのか、データベースサーバーなのか、バッグラウンド処理なのかで対処方法が異なります。
特定のプログラムがメモリを圧迫しているのであれば、メモリの使用量を減らすチューニングをしましょう。設定ファイルで簡単にできる場合もありますし、プログラム自体を見直す必要がある場合もあります。
アプリケーションへの「メモリの割り当て」をチェックしよう
メモリを圧迫するプログラムやアプリケーションを減らしてメモリの空きを増やしても、まだサーバーの動作が遅いのであれば、アプリケーションへのメモリの割り当てが少なく設定されている可能性があります。
一般的にプログラムやアプリケーションをサーバーで動作させる際には、設定ファイルにどれくらいの容量を使うかを記述します。
例えば、メモリが4GB搭載しているVPSで、設定ファイル上では1GBしかメモリを使わないように設定していたら、まだまだ余白があるのでメモリの上限を増やして動作が変わるかをチェックしましょう。
メモリの割り当てについてはアプリケーションや言語ごとに設定が異なるので、それぞれ調べてみてください。
SWAPは適切に設定されているか?
Linuxサーバーでよくあるのが、SWAPの設定漏れ。
かつては「SWAPさせたら負け」と言われていましたが、現在のVPSはストレージがSSDで高速なこと、そしてOS側もSWAPの処理が最適化されていることから、SWAPを設定するデメリットは大きくありません。
もちろんSWAPをさせないで安定稼働させるのはベストですが、手っ取り早く、コストをかけないでメモリ容量を増やしたいのであれば、SWAPを設定してみるのも良いでしょう。
LinuxサーバーでSWAPを設定する方法は、使っているOSによって異なるので、「XXX SWAP 設定」などで調べてみてください。
VPSメモリを増やす方法
ここまで見てきた最適化をしてもメモリ不足になっているなら、VPSのメモリを増やして対処しましょう。
VPSメモリを増やす方法には、
- VPSプランのアップグレードする
- 現在のプランに追加のメモリを追加する
という二つがあります。
一般的なVPSなら「プランのアップグレード」するしかない
サーバースペックをユーザーがカスタマイズ出来るクラウドなどを除いて、基本的にはVPSではメモリを増やすにはプランをアップグレードするしかありません。
VPSではプランごとに「CPUコア数、メモリ容量、ストレージ容量」の3つのスペックが強化されるようにプラン構成されているため、プランをアップグレードすると、CPUなども強化されます。
「メモリだけでなくCPUも強化できてラッキー」とも思えますが、逆にいうと必要のないCPUやストレージまで強化してしまうのでコスパは良くありません。
そうしたケースを見込んで、一部のVPSプロバイダーには「メモリ増強プラン」という、CPUやストレージはそのままで、メモリだけを増やしたプランを用意していることがあります。
純粋にメモリ不足が問題なら、メモリだけを追加出来るプランを選ぶ方がコスパが高くなります。
クラウド型ならメモリだけを追加することも可能
クラウドサーバーが従来のVPSよりも優れているとされているのが、細かいスペックをカスタマイズ出来る点。
VPSであれば、「CPU1コアならメモリは1GBか2GB」というのが常識ですが、クラウドサーバーでVPSに相当する「仮想インスタンスサービス」であれば「CPU1コアでメモリだけ8GB」といったカスタマイズが可能です。
プランアップグレードの選び方と注意点
メモリ不足が深刻だと思うなら「2つ上のプラン」を試してみよう
VPSでエントリー向けのプラン(メモリが1GB程度)のプランを使っているのであれば、一つ上のメモリ2GBプランではなく、3GBや4GBといった「2つ上のプラン」を一度使ってみましょう。
その際、いきなり本番サーバーをアップグレードするのではなく、本番サーバーのバックアップを利用して「2つ上のプランで同じサーバーを作ってテストする」のがベストです。
一定期間だけDNSの向き先をテスト用のサーバーにして、サーバー負荷を監視すれば、「まだ足りないのか、全然余裕なのか」という判断が出来ます。余裕があるなら一つ下に下げれば良いでしょう。
なるべくコストをかけたくないなら、時間課金をしているVPSでテストを行えば、数百円程度でテストが出来るはずです。
アップグレードした「後のこと」も考えよう
もしメモリ不足になっているサーバーが1GBメモリのVPSサーバーであれば、そのさきもアップグレードできるプランがたくさんあると思いますが、仮に8GBや12GBのサーバーでメモリ不足が発生しているとVPSプロバイダーによってはアップグレードプランがなかったら、極端にスペックアップしてしまうケースがあります。
どうせプランを変更するなら、この機会に「次のアップグレード」まで考えてプラン変更をしましょう。
プラン同士の比較もそうですし、他社VPSプロバイダーのプランも一緒に比較して、乗り換えを検討してみるのもアリです。