VPS料金プランと違い
VPSには様々な料金プランがあります。料金プランごとの違いを知ることは、最適なVPSサーバーを選ぶ際に重要なファクターです。
公開日: 2023.2.21
VPS料金プランの基本と種類
CPU・メモリ・ストレージが基本
レンタルサーバーでは「ベーシック」「ハイスピード」などの抽象的なプランが多いですが、VPSサーバーでは、基本的には「占有CPUコア数、メモリ容量、ストレージ容量」の3つで料金プランが構成されています。それぞれが多いほど値段は高くなります。
占有CPUコア数、メモリ容量、ストレージ容量の組み合わせは、基本的にVPSプロバイダーが決めているため、「メモリだけ増やしたい」「CPUコア数はこのプランで、メモリだけ減らして料金を減らしたい」というカスタマイズは出来ません。
リージョンによって価格が違う
VPSサーバーは、仮想サーバーではありますが、実際の物理サーバーの上で運用されているため、どこかにデータセンターがあります。そのデータセンターの場所をサーバー業界では「リージョン」と呼びます。
リージョンによってデータセンターの運営コストが異なるため、一般的にはどのリージョンのデータセンターを選ぶかで、同じサーバー構成(CPU・メモリ・ストレージが同じ)でも料金が異なります。
日本のVPSサーバーの場合、リージョンごとの料金を設定していないこともありますが、海外のVPSではリージョンごとに料金が違うことが多くなります。
リージョンによってサーバーの性能が異なることはあまりありませんが、データセンターの場所が違うとサーバーにアクセスする人との物理的な距離が変わります。現在の高速データ通信網でも、物理的な距離に応じて通信速度が変わる(近いほど速い)ため、多くのユーザーがいる地域の近くのデータセンターにサーバーを置くのが一般的です。
そのため、「どのリージョンを選ぶか」というのは、料金面だけでなく、ユーザービリティの面でも重要になります。
VPSの料金プランの比較の仕方
基本的にはスペックで比較する
ここまで見てきた通り、VPSの料金プランは「CPUコア数、メモリ容量、ストレージ容量」で区分されるため、VPSプロバイダで比較をする場合は、同じスペックの料金プラン同士で比較するのが基本です。
VPSプロバイダによって採用しているサーバーのCPU世代などが違うこともありますが、そこまで気にすることはないでしょう。
追加料金の有無で比較しよう
基本料金で比較をしたら、次は追加料金やオプション料金で比較します。よくあるのが、「AというVPSプロバイダでは基本料金に含まれている機能が、BというVPSプロバイダではオプション課金だった」というケース。この場合、月額料金にすると1.5倍ほど違うケースもあるので注意が必要です。
また、WebサービスなどでVPSを使う場合は、特に転送量の設定には注意しましょう。あるVPSプロバイダは月間の想定転送量が10TBなのに対して、別のVPSプロバイダでは1TBしかないというのはよくあることです。
将来的に使う可能性がある機能の有無も比較しておこう
VPSを契約する際は「とりあえず自由に使えるサーバーが欲しい」というくらいの理由でも、長く運営しているとあれこれと追加で機能が欲しくなります。
VPSでよく使われる機能は、
- プラン変更機能
- ロードバランサー機能
- ストレージ追加機能
- メールサーバー機能
などがあります。
それぞれの解説はここでは避けますが、将来的に必要になりそうな機能も軽くでも良いので調べて比較しておくようにしましょう。
VPS料金プランの決め方
サーバーで何がしたいかをハッキリさせよう
サーバーでの作業をデスクで作業する人間に例えると、CPUコア数は「頭脳の数」、メモリが「デスクの広さ」、ストレージは「引き出しの広さ」に表現されます。VPS料金プランの決める際は、この3つのポイントで大体のターゲットを絞り込みます。
- 処理能力が必要:CPUコア数
- 処理数を多くしたい:メモリ容量
- たくさんのデータを保存した:ストレージ容量
ですので、まずは「自分がVPSでやりたいこと、動かしたいプログラム」がどんなものかを考えてるのは非常に重要です。
次にターゲットユーザーを考えよう
契約する際は、何かの目的が必ずあります。Webサーバーであれば「Webサイトを多くの人に見てもらうため」ですし、バッチサーバーなら「データ処理をサーバー上で行うため」です。ここで考えたいのは、用途によって利用するユーザーが違うという点です。
例えば、Webサーバーであれば、VPSを契約する本人もVPSユーザーですが、WebサイトにアクセスするユーザーもVPSユーザーと言えます。むしろ、Webサーバーの場合は、契約者よりもアクセスする人間の方がサーバーにアクセスしている時間が多いのですから、本来のユーザーと言えるでしょう。
逆にバッチ処理などにVPSサーバーを使うのであれば、ユーザーは契約者です。自分自身の使い勝手で選べば良いでしょう。
リージョンを決めよう
先程解説した通り、VPSのデータセンターがある場所を示す「リージョン」は、ユーザーのアクセス速度という意味で非常に重要です。
日本国内のユーザーが多くアクセスするサービスなら日本のデータセンターを選ぶべきですし、アメリカのユーザーが多いならアメリカ、ヨーロッパのユーザーが多いならヨーロッパと、メインユーザーが占めるリージョンで契約するのが通常です。
VPSプロバイダによっては、欲しい国にリージョンがない場合もあります。海外のVPSプロバイダを使う場合は「日本がないから、一番近くのシンガポールのリージョンで契約する」ことで解決させることもあります。
おおよその処理能力をテストしよう
ターゲットユーザーまで決まったら、おおよそのVPSサーバーの使い方(使われ方)が決まります。そこで、どれくらいの処理能力が必要かをテストしましょう。
VPSではOSに自由にアプリケーションがインストールできるため、テストをする際はベンチマークソフトを使いのが一般的です。WebサーバーであればApacheベンチ、DBサーバーであればMySQLベンチなど、多くのベンチマークソフトが無料で提供されているので積極的に利用しましょう。
テストをする際は、無料トライアルがあるVPSを利用するのがベスト。もし使いたいVPSサービスに無料トライアルがなかったら、時間課金のVPSを選べばコストを最小限に抑えることが出来ます。
プラン選びに悩んだら?
Webサーバーなら「メモリ」を重視
Webサーバーを運用する場合、「たくさんのユーザーのアクセスを瞬時に捌く」ということが重要になるため、処理能力の「広さ」の指標であるメモリを基準にVPSプランを選びます。
メモリを基準にプランを選ぶ際は、「サーバーのOSだけでもメモリを使っている」ということを覚えておきましょう。例えば、OSが起動時点で300MBほど使うのであれば、1GBプランなら700MB近く余裕がありますが、メモリ512MBプランだと余白は200MB程度しかありません。プラン的には1つしか変わらなくても、メモリの余白で考えたら大きな違いがあるのです。
使っている言語やフレームワークにもよるので、実際に複数のプランでVPSサーバーを立ち上げてみて、Apacheベンチで様々なシチュエーションでテストしてみましょう。
データ処理に使うなら「CPUのコア数」を重視
一方で、データ処理するサーバーとしてVPSを使う場合は、CPUコア数を重視します。データ処理では、「処理にかかる時間 = コスト」という単純な計算が成り立つので、サーバーのCPU能力が高いほど、速くが早く終わり、作業も早く進みます。また、処理が終わったらサーバーを削除してしまえば、その分サーバーのコストも削減できます。
ただし、無駄に高いスペックのVPSを用意しても、プログラム自体が適切にコア数を使う設定になっていないと無駄になってしまうので、CPUの使用率(Linuxならtopコマンドなど)を見て、適切なプランを選びましょう。
VPSの料金プランを選ぶ際の注意点
プラン変更が可能かを必ずチェックしよう
VPSサーバーは契約した瞬間に性能が決まりますが、VPSサーバーに求める性能は日々変わってきます。
Webサーバーであればサイトが成長するに従って要求スペックは高くなりますし、プログラムの最適化が出来たことによってスペックを下げてコストダウンが出来るケースもあります。
つまり、「VPSサーバーに対する要求は常に変わるもの」なのです。
そうした変化に対応できるように、VPSサーバーでもプラン変更が可能なのかを必ずチェックしましょう。また、プラン変更の仕方も重要です。プロバイダーによっては「シャットダウンすればプラン変更可能」というケースもあれば、「新しいサーバーを契約し直す必要がある」というケースもあります。アップグレードはできるけど、ダウングレードが出来ないというケースもあります。
また、料金プランの細かさも大事です。例えば、1GBメモリで500円のVPSサーバーがあって、一つ上のプランが4GBで3,000円のプランしかないサービスがあったらどうでしょうか?1GB、2GB、4GBと細かくプラン分けがされている方が、ニーズに適切に対応できるのは明白です。
追加料金がある場合も
基本的には「月額プランで買い切り」というのがVPSサービスの基本ですが、クラウドサービスのVPS(仮想インスタンスとも呼ぶ)の場合は、マシンの使用料金とは別に「イーグレス」と呼ばれるデータ転送料金や、アクセス回数などで追加課金をするケースがあります。
こうした場合、プランリスト以上のコストがかかってしまい、場合によっては「他社サービスと比較して数倍料金が高くなった」ということもあり得るので注意しましょう。